残穢(小説)
記念すべき最初の作品は、私の大のお気に入り
「残穢」
第26回山本周五郎賞を受賞したこの作品。
私が今まで手にしたホラー小説とは、テクニックも怖さも
一線を置くものでした。
まず、語り手の不明です。
「わたし」と称する名前も明らかにされない主人公(語り手)が、
実は作者の小野不由美さんではなかろうか?と推測できる書き出し。
読み進むにつれて「やっぱり!やっぱりそうだよ!!うんうん。」
と、読み手が勝手に主人公を現実の人とリンクしてしまい、
「じゃ、じゃぁ、この話って実話じゃ・・・。」
と思ってしまう臨場感、レポ感の濃さ。
これは、すごいですよ。
ど⭐︎素人の私が「うまいなぁ〜。」と唸るくらいだから
山本周五郎賞選考委員の方々も「ぐへー!」って
参ったんじゃ無いかな。
(そうだと嬉しい。わくわく。)
そして「恐怖の伝染」
字面にしてしまうと面白く無いですが、
恐怖が、感染ります。
「土地にまつわる恐怖」というテーマは
大島てるが流行ったということもあり
あまり珍しくなくなったテーマですが、
ある土地を母体に、恐怖が媒介していく、というお話は、
今まで読んだかな?
あ、呪怨があったか。
なんか「菌」っぽいんですよね。
このお話の恐怖は。(いや菌はでてきません。)
恐怖という病気が蔓延していくような。
いや〜な感じ。じっとりした。
そして最後に、とても静かな展開です。
「わ=!!」とか「きゃ==!」とかありません。
しずーかに物事が進み、しずーかに終盤へ向かいます。
この辺がポイントなんですよね。自分的には。
この空気のように流れていく、
なんとは無いお話のような流れが
より一層本当の話っぽく味付けされてるんですよ。(と私は思う。)
1つ、難点というか楽しみというか。
家(ファミリー)がたくさん登場します。
ので、頭がこんがらがりますw
私は、何度も何度も読むほど大好きな作品なので
表を書いて楽しみました!
まさか表を書く読者がいるなんて、
小野不由美さんも思わないでしょう。
ふふふ。
まったく、
こういったチマチマした作業をさせてくれる
小野さんの作品は、
はい、大好きです◎
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「残穢」
小野不由美 著
出版社: 新潮社 (2012/07)
ISBN-10: 4103970049
ISBN-13: 978-4103970040
発売日: 2012/07
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